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36th
第36回 2020. 2.15 Saturday 12:00-15:30

ベートーヴェンとモーツァルト、弦楽四重奏の饗宴《ラズモフスキーとプロシャ王》

2020年最初のサロンコンサートはベートーヴェンとモーツァルト、弦楽四重奏の饗宴《ラズモフ スキーとプロシャ王》と題して弦楽四重奏を楽しみます。ベートーヴェンとモーツァルトが活躍し ていた、当時のウィーンの貴族のサロンでは弦楽四重奏が非常にもてはやされていました。そこ で両名とも沢山の弦楽四重奏のための曲を書きました。先ずベートーヴェンのほうはラズモフス キー伯爵に献呈された作品59の3つの弦楽四重奏曲から第2番のホ短調。この曲はベートーヴェン の中期の最高傑作の一つで、数ある弦楽四重奏曲の中でも屈指のものです。緊張感に満ちた音楽 の中にベートーヴェンらしいパッション、情熱を秘めた聞き応えのある曲で、後期の作品に通じる 深遠さも秘めています。一方モーツァルトの方はプロシャ(プロイセン)王フリードリッヒ•ウィ ルヘルム2世のために作曲されたという3つの弦楽四重奏曲の第2番変ロ長調、K.589。こちらは 落ち着いた佇まいの中に、透明感のある深さを持ったモーツァルトらしい曲。この曲が書かれた 1790年、当時のモーツァルトの生活は困窮しており、そんな状況だからこそこのような素晴らし い曲がかけたのかも知れません。(因みにK.589は弦楽四重奏曲の22番に当たり、2020年に22 周年を迎えるシノワ・渋谷店との縁を感じます)。この2曲を並べて聴いてみると、2人の天才の 個性の違いと同時に音楽を通じての繋がりを感じないわけにはゆきません。すなわち2人の音楽の 聴く人の魂に訴えかけるもの、深遠さです。ベートーヴェンは先輩にあたるモーツァルトからそれ を受け継いたのです。この2曲のクワルテットが醸し出す世界はワインに例えるならば、熟成した 極上のボルドーワインとブルゴーニュワイン。厚みの中に複雑さと繊細さ、同時に力強さと若々し さを秘めた深遠な世界。正にそんな世界が広がる2人の天才が残した弦楽四重奏曲を味わって下さ い。
そこで今回演奏するのはゴルトベルク変奏曲の三重奏版、ショパンとラフマニノフのチェロ・ソ ナタで円熟した演奏を聴かせてくれたチェロの花崎 薫さん率いるエルデーディ・クワルテット。 第1ヴァイオリンの蒲生克郷さん、第2ヴァイオリンの花崎淳生さん、ヴィオラの桐山健志さん。 1989年の結成以来、国内外で幾度となくモーツァルト、ベートーヴェン、ハイドンなどのの弦楽 四重奏曲を演奏し続けているベテラン達です。そんな彼らがシノワのサロンに紡ぎ出す音の世界、 とても贅沢な午後のひと時です。是非お聴き逃しなく、スタッフ一同お待ちしております。

音楽オーガナイザー Itaru Haba ベートーヴェンとモーツァルト、弦楽四重奏の饗宴《ラズモフスキーとプロシャ王》

artist 弦楽四重奏
エルデーディ弦楽四重奏団 profile

エルデーディ弦楽四重奏団 1989年東京藝術大学出身者により結成。90-92年ロン ドンでのアマデウス弦楽四重奏団メンバーによるサ マーコースに参加し研鑽を積む。 91年及び92年松尾 学術振興財団より特別奨励賞受賞。1992年11月より 翌年1月にかけて、日本室内楽振興財団の助成を受 け、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン連続 演奏会を開く。その後、95年より開始した「ベート ーヴェン後期とバルトーク」を完結し、「クヮルテ ット紀行」シリーズではイタリア、北欧、チェコ、 パリ、ロシア、イギリス、ウィーン、ハンガリーを 取り上げた。95年及び97年春、秩父における、アマ デウス四重奏団のメンバーによるコースに参加。 99 年、結成10周年にあたり、ハイドンのエルデーディ 弦楽四重奏曲(作品76)全6曲演奏会を開催。2000年 夏、芦ノ湖音楽祭、清里音楽祭に出演。01,03年欧州 (ドイツ、フランス)公演。05年より第一生命ホー ルSQWシリーズにおいて、ハイドン最晩年の作品 9 曲、メンデルスゾーン主要 6曲、シューマン全 3曲、 ツェムリンスキーとベルクの作品を、 09年にはハイ ドン作品74全3曲、作品9-5,9-6、「十字架上の七 つの言葉」作品51、メンデルスゾーン作品 13,44-2,80 の演奏会を開催。15年よりベートーヴェンの後期シ リーズ開始。 ハイドン作品76全6曲、メンデルスゾーンとシューマ ン、プッチーニ、ピツェッティ、ロータの作品によ る「菊」のCDをリリース。 また、2018年よりベート ーヴェン後期弦楽四重奏曲集をリリース開始。


program プログラム

アマデウス・モーツァルト作曲 弦楽四重奏曲第22番 変ロ長調 K.589 『プロシャ王』
第1楽章: アレグロ 変ロ長調
第2楽章: ラルゲット 変ホ長調
第3楽章: メヌエット 変ロ長調
第4楽章: アレグロ・アッサイ 変ロ長調

ルードヴィッヒ・ベートーヴェン作曲 弦楽四重奏曲第8番 ホ短調 作品59ー2 『ラズモフスキー』
第1楽章: アレグロ ホ短調
第2楽章: モルト・アダージョ 深い感情をもって ホ長調
第3楽章: アレグレット ホ短調 第4楽章: フィナーレ、プレスト ホ短調